ビジョン検査の結果は、通常OK/NGの信号です。その信号を受けて不良品を排出するのは、別に設置された設備の役割です。Physical AI はさらに一歩進み、見て判断した内容をもとに、ロボットが自ら行動します。どこを掴むか、どの程度の力で握るか、どの方向にひねるかを、その都度決めます。
構成要素
| 要素 | 役割 | fineAi では |
|---|---|---|
| ビジョン | 対象の位置・姿勢・状態の認識 | Basler 2D、Zivid・Photoneo・EpicEye 3Dカメラ |
| AIモデル | 対象の検出、欠陥の判定 | YOLO 検出・セグメンテーション、PatchCore/PaDiM 異常検知 |
| ロボット | 移動と作業 | Rainbow Robotics RB5-850 · RB10-1300e 協働ロボット |
| エンドエフェクター | 把持、溶接など | OnRobot 2FG7、Tesollo DG-3F-M 3フィンガー(12自由度)グリッパー |
| センサー | 接触・力の確認 | 6軸力/トルクセンサー |
| 補正 | カメラ座標 → ロボット座標 | ハンドアイキャリブレーション |
| 仮想検証 | 経路・干渉・サイクルの事前確認 | デジタルツイン |
事例 — シイタケ収穫の自動化
CUBE FARM 栽培システムと RoboVision が連携し、成長したシイタケをロボットが摘み取ってバスケットに入れます。
- 認識 — 3Dカメラで栽培棚を撮影し、キノコを見つけて3D位置を確定します。
- 判断 — キノコごとに把持できるグリッパー姿勢の候補を作り、干渉の可能性と安定性で順位を付けます。あらかじめ設定した把持プリセット(18種)から適したものを選びます。
- 行動 — ロボットが近づき、3フィンガーグリッパーで握り、手首を左右にひねって(twist pluck)摘み取ります。
- 確認 — 力/トルクセンサーで接触と把持の状態を確認します。想定と異なる場合は、状態機械(FSM)が再試行するか、次のキノコに移ります。
- 記録 — 収穫結果が CUBE FARM に戻り、生育データとともに管理されます。
事例 — 溶接検査
ロボットアームの先端にカメラと照明を取り付け、溶接線に沿って移動しながら撮影します。撮影した画像で欠陥を見つけ、3Dのビード断面を計測して ISO 5817 の等級を判定します。見逃しや過検出としてマークされた結果はデータセットに蓄積され、再学習に使われます。
言語モデルの役割
finetheAi Physical AI Platform(PaaS)は、ローカルで動作する言語モデル(Ollama)を使用します。
- 作業指示 — 「3番のバスケットが満杯になったら4番に切り替えて」のような自然言語の指示を、作業ステップに分解します。LangGraph ベースのオーケストレーターが、複数のエージェントに作業を割り振ります。
- 結果の解釈 — ビジョン言語モデル(VLM)が異常検知のヒートマップを見て、どのような異常かを文章で説明します。
- 運用報告 — 一日の作業結果を要約し、日報を作成します。
言語モデルがロボットを直接動かすことはありません。実際の動作は、検証済みの経路と安全ルールに従う制御層が実行し、言語モデルはその上位で計画と説明を担当します。
安全が最優先
人のそばで動作する協働ロボットでも、安全装置は必須です。RoboVision は非常停止(E-STOP)と一時停止に対応しており、実機のロボットなしで動作を確認できるシミュレーションモードを内蔵しています。新しい動作は、シミュレーションとデジタルツインで先に確認してから、実機に移します。