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位置合わせ(アライメント) — 部品を同じ姿勢に揃える技術

部品が毎回異なる角度で置かれると、モデルは欠陥よりも先に回転を学習してしまいます。円形部品の Ring 位置合わせ、任意形状の PCA 位置合わせ、位置合わせ後に判定する yolo_align まで、位置合わせの原理と使いどころを整理します。

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この講座のポイント
  1. 位置合わせは「位置」と「回転」を取り除き、モデルが欠陥だけに集中できるようにします。
  2. 円形部品は円の中心と方向特徴(タブ・耳)で、任意形状は画像モーメント(PCA)で向きを決めます。
  3. 学習データと現場検査には、まったく同じ位置合わせを使う必要があります。位置合わせの設定は Image Processing Tool と Multi-Inspector で共有されます。
  4. 位置合わせに失敗した場合は元画像のまま判定を続行し、位置合わせのエラーでラインが止まらないようにします。

異常検知モデルは「正常な部品はこういう見た目である」ことを学習します。ところが、正常な部品が毎回異なる角度で撮影されると、モデルが学ぶべき「正常」の範囲が、あらゆる回転姿勢にまで広がってしまいます。範囲が広がるほど、小さな欠陥はその中に埋もれます。位置合わせは、この問題を撮影直後に解消します。

撮影元画像 · 回転 −38° rotation-fix 位置合わせ後 · タブが12時、中心が画面中央 ① 円の中心を探す② タブの角度を計算③ 回転・移動
円形部品の Ring 位置合わせ。円の中心を画面中央へ移動し、方向特徴(タブ)が12時の向きになるよう回転させます。

円形部品 — Ring 位置合わせ

バンド、リング、ベアリングなど丸い部品は、次の手順で位置合わせします。Multi-Inspector の rotation-fix モードがこの方式です。

  1. 中心を探す — 円検出(Hough Circle)や輪郭への円当てはめ(circle fitting)で、部品の中心を求めます。
  2. 向きを探す — 円は回転しても同じに見えるため、タブや耳(ear)のように1か所にしかない特徴の角度を探します。
  3. 回転・移動 — 中心を画面中央へ、特徴を12時方向へ移します。

任意形状 — Shape(PCA)位置合わせ

シートベルトのバックルのように丸くない部品では、円を見つけられません。この場合は、部品領域の画像モーメントから姿勢を求めます。

  • 1次モーメント(重心) — 部品の位置。
  • 2次モーメント(主軸) — 部品が最も長く伸びている方向。主成分分析(PCA)と同じ計算です。
  • 3次モーメント(非対称度) — 主軸だけでは、前後が180°反転していても区別できません。質量がより偏っている側を前と決めることで、この曖昧さをなくします。

詳しい計算と設定は、技術ノート円形でない部品を位置合わせする方法にあります。向きは不要で位置だけ合わせればよい場合は、Center-Only 位置合わせを使います。

位置合わせ後の判定 — yolo_align

Multi-Inspector EB のライン向けビルドは、v2.2 から yolo_align モードに対応しています。部品を位置合わせして中央に揃えたうえで、YOLO により欠陥を検出します。欠陥が常に似た位置・向きに現れるため、同じ量のデータでも検出が安定します。詳しい設定は yolo_align モードのノートを参照してください。

学習と検査には同じ位置合わせを使う

位置合わせは、学習時に1回、現場での検査時にもう1回実行されます。2つの位置合わせがわずかでも異なると、モデルは学習時と違う画像を受け取ることになります。そのため、fineAi Image Processing Tool で作成した位置合わせの設定を、Multi-Inspector がそのまま取り込んで使います。データを準備したときの位置合わせと、ラインで動作する位置合わせが、同じ結果を出します。

失敗への備え

位置合わせは画像から特徴を見つける処理なので、失敗することがあります。部品が半分切れた状態で撮影された場合や、照明が一瞬揺らいだ場合などです。Multi-Inspector は位置合わせに失敗すると、元の画像で判定を続行し、ログを残します。位置合わせのエラーでラインが止まることはなく、失敗した画像は後でまとめて原因を分析できます。

位置合わせを使わないのはどんなときか

  • 部品が治具に固定され、常に同じ位置で撮影される場合は、位置合わせなしでも十分です。
  • 形状が一定でない対象(食品、農産物など)は、位置合わせの基準を定めにくくなります。この場合は、位置変化に強いモデル(AnomalyDINO など)や、位置合わせなしの YOLO が適しています。異常検知アルゴリズムの選び方の講義を参照してください。